超個人的なこと 〜井原の影の部分
私は両親が離婚して父方の姓を名乗っていることもあってか、父親とそう年齢の変わらない母方の祖母*1に対しては、余り親しみを感じないどころか嫌悪感があった。だいいち会うたびに金をせびったり、初めての孫の七五三や成人式の衣裳を買うことを快く思わないどころか、「私に友禅*2の最高級品を買いなさい」などとわめき、「なんだろう、この人は」と言う気持ちが長年あった。
私の中では、世間一般に言う「いいおばあちゃん」どころか、「ワガママな女」と言う認識しかなかった。父方の祖母には、それこそ感謝もしているし、恩義も感じるし、尊敬すべき対象と思っているから、真逆とも言える。
ただそんな人でも、アルツハイマー性認知症となり、憎まれ口を聞いていた私の顔すら全く覚えていないという状況*3での誕生日。彼女に対して好感をもてない部分がないといえば嘘になるが、母*4をそっと見守ってやろうと心に誓った。